1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,補1,補2,補3
モデルを振り返る
前回で式は全て解説し終わりました。ここでモデルの外生変数と内生変数を確認しましょう。
まず、モデルの外生変数は (マッチが生産する売上),
(失業利益),
(割引率),
と
(マッチング関数のパラメータ),
(マッチの分裂確率),
(労働者の交渉力),
(採用コスト)です。
式の数は10本です。

内生変数の数も10個です。それは (失業率),
(求人数),
(ジョブを見つける確率),
(ジョブが埋まる確率),
(求人倍率),
と
(労働者の生涯所得),
と
(ジョブの現在価値),そして
(賃金)の10個です。
連立方程式ですから、全ての式を使って全ての変数を求めます。1つだけ変数を知りたいからと言って、1つだけ式があればよい、ということにはなりません。
しかしながら、経済学のモデルでは、「この変数を決めるのはこの式」というような対応関係があるのが普通で、サーチ・モデルでもそうなっています。1つめの式は を定める式ですし、2つめの式は
,3つめの式は
,4つめの式は
を定める式といった具合です。5から8つめの式は「ベルマン方程式」と呼ばれる種類の式で、順に
,
,
,
を定めます。9つめの式は賃金
,10個目の式は求人数
を定める式であることも説明しました。
この連立方程式を解く際は、変数消去によって変数が2つだけの連立方程式に落とし込み、そのあとはコンピューターを使って数値的に解きます。そこで、次回は変数の消去によって連立方程式のサイズを2変数2式まで小さくする方法を説明をします。
>> 労働市場論(サーチ・モデル)(11)モデルを解く