ポートフォリオの期待リターン1 「証券が2つの場合」
前回まで、「個別株の情報がどう与えられるか」を、5つの企業の株式があるという例で見てきました。今回から、それらを組み合わせた「ポートフォリオ」の期待リターンやリスクがどうなるかという話に移っていきます。ただ、たくさん株があると話が複雑になるので、まずは2つだけの場合を考えてみましょう。
トヨタとマクドナルドの2種類しか株式がない状況を考えてください。それぞれのリターンを , と表しましょう。期待リターンは期待値の記号を使ってそれぞれ , と表すか、またはギリシア文字の (ミュー)を使って、, と表します。
2つの株のポートフォリオ・ウェイトは , とおくことにします()。すると、ポートフォリオのリターンは です。これの期待値を とおくと
です。2つめのイコールは「線型結合の期待値」の公式を用いています。
たとえばトヨタとマクドナルドに同額ずつ投資したポートフォリオであれば ですから、ポートフォリオの期待リターンは、単純にトヨタの期待リターン とマクドナルドの期待リターン の平均だということになります。
ここでちょっと、中学校の数学で教わった「食塩水の法則」を思い出してください。濃度の異なる食塩水を混ぜたとき、出来上がった食塩水の濃度は「加重平均」で求まると教わりました。例えば、「10%と20%を半々で混ぜれば、15%になる」と言った具合です。今日の内容を言い換えれば、株の期待リターンに関しても同じようなことが成り立つということになります。
でも、この「食塩水の法則」は、ポートフォリオのリスクに関しては当てはまりません。次回は、ポートフォリオのリスクについて解説したいと思います。
>> 平均分散分析(4)ポートフォリオのリターンの標準偏差1 「証券が2つの場合」