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個別株の情報(期待リターン)


株式のリターン(収益率)は確率変数です。今、A,B,C,D,Eという5つの企業の株式が取引されている場合を考えてみましょう。すると、A社株のリターンからE社株のリターンまで、確率変数が5つあることになります。


どの株式にどれくらい投資するかを決めるには情報が必要です。あなたが投資マネージャーに電話して一番最初に聞くべき情報は「期待値」です。リターンの期待値は「期待リターン」とも呼びます。株式が5つあれば、それぞれに期待リターンがあります。例えばA社株の期待リターンはひと月当たり1.10%、B社株の期待リターンはひと月で0.90%といった具合です。これを表であらわせば以下のようになります。


経済学では、数字を2つ以上並べたものを「ベクトル」と呼ぶので、これは「期待値ベクトル」と呼べます。期待値ベクトルを教えることは、投資マネージャーにとって朝飯前です。気象予報士が今週末の降水量を予想するように、データを駆使して推定してくれるでしょう。ただそれはあくまで期待値に過ぎず、実際に実現するリターンは、それよりずっと高い場合もあれば、ずっと低く、場合によってはマイナスになる可能性もあります。


そういう不確かさ、すなわちリスクの情報はどのように与えられるでしょうか。次回は個別銘柄のリスク情報について考えます。確率変数の分散や共分散の知識が必要になりますので、あやふやな人はこちらのシリーズで復習してください。

>> マーコウィッツの平均分散分析(2)個別株の情報(リスク)