1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,補1,補2,補3
モデルを解く
このシリーズで勉強している基本のサーチ・モデルは、10変数・10式の連立方程式で表されました。
今回は、解き方です。変数の消去によって、2変数・2式まで減らすテクニックを紹介します。サーチ・モデルを応用した多くの論文で使われるテクニックです。(計算過程を不要とする人は、この回は飛ばして先に進むことができます。)
まず手始めに、(10)式()を他の式に代入します。すると(9)式(賃金決定式)は
となります。
ここで、と置くと、
が出てきます(上の式から下の式は導ける)。これらの式はあとで用います。
次に、連立方程式の(5)・(6)式と、 を代入した(8)式を、合体させることを考えます。
2つめと3つめの式を足し、1つめの式を引くと、
です。
ここで再び と置き、上記の も使い、さらに(2)式で を消去すれば、
となります。これが導きたい2本の式のうちの1つ目です。 と だけの式であることを意識しましょう。
一方、連立方程式の(7)式は
ですが、まず を代入し、次に上述の で を消去し、さらに(3)式で も消去してしまえば
です。これが導きたかった2つ目の式です。これも と だけの式です。
以上をまとめると、, という2変数のみの式が、2本だけあることになります。(ここからさらに1変数1式にすることも容易です。)
式の数がかなり減ったので、外生変数の値を全て与えれば、 と の値をコンピューターで簡単に求められます。
そうしていったん が求まれば、(2)式から ,(3)式から が求まり、 が求まれば(1)式より も求まります。また、(4)式より と から、 も求まります。一方、いったん が求まれば、 より が求まり、 が求まれば(8)式で が定まります。一方、 より も求まり、 が求まれば(5)式によって が求まります。 と が求まったので も求まります。
次回はコンピュータを用いて解いた結果を紹介したいと思います。
>> 労働市場論(サーチ・モデル)(12)数値シミュレーション1 賃金と失業