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ポートフォリオのリターンの標準偏差2 「証券がn個の場合」


今度は、n個の株式のポートフォリオのリターンの標準偏差を求めます。n個の銘柄のリターンをそれぞれR_1R_2\cdotsR_nとおきましょう。確率変数がn個あることになります。「個別銘柄の情報(リスク)」で説明した通り、この場合のリスクの情報は「分散共分散行列」で与えられます。


n個の銘柄それぞれのポートフォリオ・ウェイトを w_1, w_2, \cdots, w_n とおきます。ウェイトは確率変数ではなく、投資家が好きなように決めるものです。ウェイトを決めれば、ポートフォリオのリターンは w_1R_1 + w_2R_2 + \cdots + w_nR_n で表されます。これの分散を計算するには、「行列で表した分散公式」が便利です。


結論だけ言うと、n個のリターンの「分散共分散行列」を V で表すとき、w_1R_1 + \cdots + w_nR_n の分散は、w'Vw という行列のかけ算に等しくなります。ここで、w' はウェイトを横一列に並べたもの、w は縦一列に並べたものです。標準偏差は分散の平方根なので、\sqrt{w'Vw} となります。


練習してみてください。3つの企業の株式があるとします。それぞれのリターンを XYZ と表します。分散はそれぞれ Var(X)=131,Var(Y)=58,Var(Z)=24 だとします。また、共分散は Cov(X, Y)=46,Cov(X, Z)=27,Cov(Y, Z)=15 だとします。今、この3つの株式にそれぞれ 20%,50%,30%の資金を投資したポートフォリオを作ったとします。このとき、ポートフォリオのリターン 0.2X + 0.5Y + 0.3Z の分散はいくつになるか、という問題です。(問題と答えはこちら)


次回はさまざまなポートフォリオ(つまり w)に関してリターンの標準偏差と期待値を計算し、横軸に標準偏差、縦軸に期待値を取った散布図を作ります。

>> 平均分散分析(8)リスク・リターン・フロンティア2 「証券がn個の場合」