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二項分布の期待値,分散,標準偏差
今回は二項分布の期待値、分散、標準偏差を求めます。
今、
がパラメータ
の二項分布に従う確率変数であるとします。復習すると、このとき
は「確率
で事象Aが起こるベルヌーイ試行を
回行ったときにAが起こる回数」です。Aの解釈は「成功」「当たり」「陽性」など何でも構いません。
の実現値は0から
のいずれかです。
の期待値や分散はいくつになるでしょうか。
これを求めるテクニックは次の通りです。今、
を1回目の結果、
を2回目の結果、
を3回目の結果… としましょう。いずれも、Aが起これば1、起こらなければ0です。
は「
回のうち何回Aが起こるか」なので、
![]()
と表せます。各
これを利用すれば、
![Rendered by QuickLaTeX.com \begin{eqnarray*}E[Y] &=& E[X_1 + X_2 + \cdots + X_N]\\&=& E[X_1] + E[X_2] + \cdots + E[X_N]\\&=& p + p + \cdots + p\\&=& Np\end{eqnarray*}](https://blog-study-economics.com/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-ba035832e3a96b06dba30d37b0b799cc_l3.png)
と求まります。2つめのイコールは「線形結合の期待値」の公式、3つめのイコールはベルヌーイ分布の期待値が
他方の分散を求めるには分散公式(係数が全て1の場合)を用います。
![Rendered by QuickLaTeX.com \begin{eqnarray*}\mbox{Var}[Y] &=& \mbox{Var}[X_1 + X_2 + \cdots + X_N]\\&=& \sum^N_{i=1} \mbox{Var}[X_i] + \sum_{i<j} 2\mbox{Cov}(X_i, X_j)\\&=& Np(1-p)\end{eqnarray*}](https://blog-study-economics.com/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-4818284464c2b92890ad81991dec0b19_l3.png)
2つめのイコールが分散公式です。最後のイコールは、
(i) ベルヌーイ分布の分散は
(ii) ベルヌーイ試行の結果は互いに独立なので、共分散は全て0
を用いています。標準偏差は分散の平方根なので
このように、二項分布の期待値、分散、標準偏差は、「二項分布にしたがう確率変数が、ベルヌーイ分布に従う確率変数の和であること」に気づけば、簡単に求めることができます。
次回は二項分布から派生する分布の例を紹介したいと思います。
今日のポイント
二項分布は、ベルヌーイ分布の和であることを利用して期待値・分散を求める。
