>> 序,1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18
ベルヌーイ分布以外の「二者択一」分布
ベルヌーイ分布は「0か1か」の二者択一の確率分布です。一方、100万円もらえるか失うかの賭けは「100か、 か」であって「0か1か」ではないので、厳密にはベルヌーイ分布ではありません。しかし、このような二者択一の確率変数の期待値や分散は、ベルヌーイ分布の期待値や分散を利用することで、簡単に求めることができます。それをこれから説明しましょう。今、
確率 で
確率 で
が実現する確率分布を考えましょう。そのような分布にしたがう確率変数を ,ベルヌーイ分布にしたがう確率変数を と表すことにします。以下の表は と の関係をまとめています。
ベルヌーイ分布の期待値と分散は、前回求めたように , です。では の期待値と分散はどうなるでしょうか。ここで有用となるのは、上述の が の式で表せるという事実です。その式は というものです。 のときに で、 のときに だからです。
この事実を用いて、の期待値、分散、標準偏差を求めましょう。まず期待値は
1つめのイコールは を代入しています。2つめのイコールは「線形結合の期待値の公式」を使っています。3つめのイコールはベルヌーイ分布の期待値が であることを用いています。
分散は、分散公式を用いれば
です。1つめのイコールは、「定数項は分散には無関係」という事実を用いています。2つめのイコールは係数が2乗して分散の外に出ることを用いています。3つめのイコールは、ベルヌーイ分布の分散が であることを用いています。
標準偏差は分散の平方根ですから、 となります。2つの実現値 と の差が開くほど、標準偏差も大きくなることが分かります。
ここまで、離散型の確率分布の代表例の1つめ「ベルヌーイ分布」とその派生形を勉強してきました。次回は「ベルヌーイ試行」の概念を知り、離散型の確率分布の2つめ「二項分布」に進みましょう。
今日のポイント
か かという二者択一の分布の期待値と分散は、ベルヌーイ分布の期待値と分散を利用して求めることができる。