aX+bY の分散の公式
次に、確率変数,
の前に係数がついている場合の分散公式です。
のように、確率変数に係数をつけて足し合わせたものを、確率変数の「線形結合」と呼びます。線型結合は、期待値に関しては
のような分解が可能です(線型結合の期待値を参照)。しかし、分散や標準偏差ではそのような分解はできません。
線型結合の分散の公式を以下に示します。この公式は、中学の数学で教わる
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と
の標準偏差から、
の標準偏差が求まると思いがちですが、それは間違いです。
と
を合わせたリスクを求めるには、両者の相関関係をふまえ、分散公式を経由しないといけないのです。(*注1)
1つ練習問題をやってみましょう。
問題 と
の標準偏差が
,
, 両者の相関係数が
であると分かっている。このとき、
の標準偏差はいくつか。
解答のポイントは、まず分散と共分散を求め、それから公式を使うという点です。このことを図にしておきます。
![](https://blog-study-economics.com/wp-content/uploads/2021/02/diagram039_variance_formula4-1024x438.png)
(解答はこちら)
次回は確率変数が3つある場合の分散公式です。
>> 和の分散公式(4)確率変数が3つの場合
*注1:
ちなみに定数項は分散には影響しません。すなわち,
を定数とすれば
が成立します(証明は省略)。これは、分散が「ばらつき」の指標であることを覚えていれば直観的なことです。日本中のすべての人に5cmの靴を履かせれば、身長の平均は5cm上がるでしょう。一方、みんな5cm上がるなら、ばらつきは変わりません。
問題の解答(戻る)
(「確率変数の平・分・共・標・相」の数値例を使っているため、少数の四捨五入による若干の誤差があります。)
公式を使うために、まずは と
の分散と、両者の共分散を求めます。分散は標準偏差の2乗なので、
また、相関係数の定義から共分散を逆算すると
(共分散を2つの標準偏差で割ったものが相関係数だからです。)
分散と共分散が分かったら、上の分散公式 (
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が出てきます。よって標準偏差は
です。