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確率変数が3つの場合


前回は確率変数が X と Y の2つという設定で、線形結合の分散を求める公式を紹介しました。確率変数が3つ以上ある場合はどうでしょうか。2つだけのときより公式は長くなります。でも、理論の難しさは変わりません。今日は確率変数が3つある場合を勉強しましょう。


3つの確率変数 X, Y, Z がある場合、それらの線型結合 aX + bY + cZ の分散は、以下のようになります。ここでも、中高の数学で出てくる (2x + 3y + 5z)^2 のような式の展開との類推で覚えてください。




公式の右辺を見て下さい。まず3つの確率変数それぞれの分散の項があり、それらには係数の2乗がつきます。そのつぎに、共分散の項が続きます。確率変数のペアを全て列挙してください。ここでは XYYZZX の3組ありますね。ペアが3組あるので、共分散も3つあります。それぞれの共分散には、2つの確率変数の前に付いていた係数を付け、2倍します。2ab などがそれです。


練習問題をしてみましょう。


問題
確率変数が3つあり、それぞれ分散は \mbox{Var}(X)=131, \mbox{Var}(Y)=58, \mbox{Var}(Z)=24 で与えられるとします。また共分散は \mbox{Cov}(X, Y)=46, \mbox{Cov}(X, Z)=27, \mbox{Cov}(Y, Z)=15 で与えられるとします。このとき 0.2X + 0.5Y + 0.3Z の分散を求めてください。



解答

    \begin{eqnarray*}&& \mbox{Var}[0.2X + 0.5Y + 0.3Z] \\\\&=& (0.2)^2\mbox{Var}[X] + (0.5)^2\mbox{Var}[Y] + (0.3)^2\mbox{Var}[Z] \\\\&& + 2(0.2)(0.5)\mbox{Cov}(X,Y) + 2(0.5)(0.3)\mbox{Cov}(Y, Z) + 2(0.2)(0.3)\mbox{Cov}(X,Y)\\\\&=& (0.2)^2 \times 131 + (0.5)^2 \times 58 + (0.3)^2\times 24 \\\\&& + 2(0.2)(0.5)46 + 2(0.5)(0.3)27 + 2(0.2)(0.3)15\\\\&=& 38.84\end{eqnarray*}




確率変数が3つの場合が理解できれば、一般に n 個ある場合の公式も想像できるかもしれませんね。想像が合っているかどうか、次回チェックしてみましょう。

>> 和の分散公式(5)確率変数がn個の場合