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二項分布の期待値,分散,標準偏差
今回は二項分布の期待値、分散、標準偏差を求めます。
今、がパラメータ の二項分布に従う確率変数であるとします。復習すると、このとき は「確率 で事象Aが起こるベルヌーイ試行を 回行ったときにAが起こる回数」です。Aの解釈は「成功」「当たり」「陽性」など何でも構いません。 の実現値は0から のいずれかです。 の期待値や分散はいくつになるでしょうか。
これを求めるテクニックは次の通りです。今、 を1回目の結果、 を2回目の結果、 を3回目の結果… としましょう。いずれも、Aが起これば1、起こらなければ0です。 は「 回のうち何回Aが起こるか」なので、
と表せます。各 ()はベルヌーイ分布です。
これを利用すれば、 の期待値は(上の式の両辺の期待値を取れば)
と求まります。2つめのイコールは「線形結合の期待値」の公式、3つめのイコールはベルヌーイ分布の期待値が であること()を用いています。この結果()は直観的です。確率0.36で天使シールが出るビックリマンチョコを100個買ったら、当たる天使シールの数の期待値は36枚だと言っているのです。
他方の分散を求めるには分散公式(係数が全て1の場合)を用います。
2つめのイコールが分散公式です。最後のイコールは、
(i) ベルヌーイ分布の分散は
(ii) ベルヌーイ試行の結果は互いに独立なので、共分散は全て0
を用いています。標準偏差は分散の平方根なので です。確率0.36で天使シールが出るビックリマンチョコを100個買う例では、当たる天使シールの標準偏差は 枚となります。
このように、二項分布の期待値、分散、標準偏差は、「二項分布にしたがう確率変数が、ベルヌーイ分布に従う確率変数の和であること」に気づけば、簡単に求めることができます。
次回は二項分布から派生する分布の例を紹介したいと思います。
今日のポイント
二項分布は、ベルヌーイ分布の和であることを利用して期待値・分散を求める。