>> 序,1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18
ポアソン分布(3)期待値と分散
今回はポアソン分布の期待値を求め、分散についてコメントします。
まず期待値です。二項分布の期待値は でしたが、ポアソン分布の期待値は です。これは前回勉強した「二項分布とポアソン分布の関係」を知っていれば、うなずけることです。
証明もそれほど難しくありません。ポアソン分布にしたがう確率変数を とおき、 の実現値が となる確率を と置くならば、以下の式が導けます(各イコールの説明は式のあと)。
1つ目のイコールは期待値の定義(“対応する実現値と確率を掛けたものの合計”)です。2つ目のイコールはポアソン分布の確率を代入しています。第1項はゼロなので無視し、約分を行ったのが3つ目のイコールです( に注意)。4つ目のイコールは全体を共通因数 でくくっています。最後のイコールは、確率を全て足したら1になるという事実を用いています(前々回の2つめの式)。これでポアソン分布の期待値は であることが証明されました。
ポアソン分布の例として「一日の間に起こる事故件数」や「やぶを5分間歩いたときに蚊に刺される回数」を挙げました。ポアソン分布を使うときは、蚊が全部で何匹いるか、車が全部で何台走っているかなどは気にする必要はありません。平均的にどれくらい起こるのかだけを調べて の値を設定します。「二日間に起こる事故件数」や「10分間歩いたときに刺される回数」のように、時間の長さが2倍になったら、 も2倍にします。
次は分散ですが、実はポアソン分布では分散も になります。これは、「二項分布の分散は 」と「二項分布で , とするとポアソン分布になる」を合わせれば、予想できることです。実際に の公式を使って証明することもできます。すでに期待値は と示したので、 を示せばいいわけです。証明は補論に記しておきますので、挑戦してみてください。
これでポアソン分布の基本は終わりです。次回は離散型の確率分布の5つ目、「負の二項分布」です。
>> 確率分布(離散型)(16)負の二項分布
補論:ポアソン分布の