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幾何分布(1)


ここまで「ベルヌーイ分布」と「二項分布」を勉強しました。3つ目は「幾何(きか)分布 (geometric distribution)」です。


ガチャガチャを当たりが出るまで続けるとしましょう。一度でも当たりが出たらストップです。毎回「当たる確率は0.2,外れる確率は0.8」で変わらないと仮定します。外れが続いた後は当たりが出やすい、ということはありません。このとき、

・ちょうど0回外れる確率(=1回目で当たる確率)は 0.2
・ちょうど1回外れる確率(=2回目で当たる確率)は 0.8 \times 0.2
・ちょうど2回外れる確率(=3回目で当たる確率)は (0.8)^2 \times 0.2

となります。外れが10回、100回と続く確率も、小さいですがゼロではありません。「幾何分布」は、「当たりが出るまでに何回外れるか」の確率を教えてくれます。(*注1)


一般的な設定で説明します。AA^c という2つの結果だけが起こる「ベルヌーイ試行」を考えてください。コイン投げやバスケのシュートなどです。A^c が起こるまで、試行を何度も繰り返すことを考えましょう。このとき、起こりうるシナリオは以下の図にまとめられます。左上からスタートし、A が起こっている間は水色の線を右下に進み続け、一度でも A^c が起こったら黄色い線を右に進んで終わりです。A が起こる回数を k で表すことにしましょう。




ここで、各試行では「確率 qA,確率 1-qA^c 」とします。すると、各シナリオが起こる確率は以下の図のようになります。




図の通り、1回も A が起こらない確率は 1-q,ちょうど1回 A が起こる確率は q(1-q),ちょうど2回 A が起こる確率は q^2(1-q),・・・です。このように、幾何分布は「(A^c が起こるまでに起こる)A の回数」と確率の関係を表します。


きちんと書き出せば、

確率 (1-q) で0
確率 q(1-q) で1
確率 q^2(1-q) で2
確率 q^3(1-q) で3
  \vdots
確率 q^k(1-q)k
  \vdots
のようになります。これが幾何分布です。(*注2)


ところで、確率は全て足し合わせると1になります。次回はそれを確認したいと思います。

>> 確率分布(離散型)(10)幾何分布(2)確率の和が1であることの確認


*注1)
反対に、「外れが出るまでに何回当たるか」も幾何分布です。

*注2)
幾何分布の定義の仕方には、最後の1回も数に含めるバージョンもあります。その場合は全てに1を足して

確率 (1-q) で1
確率 q(1-q) で2
確率 q^2(1-q) で3
確率 q^3(1-q) で4
・・・
となります。この場合、期待値は1増えます。