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二項分布 例2


前回は「二項分布」の例として N=2 の例を見ました。今日は N=3 の例を見てみましょう。


子供たちに人気のお菓子「ビックリマンチョコ」を1個買うと、確率 p で「天使シール」が、確率 1-p で悪魔シールが入っています。子供たちのお目当ては天使シールです。このお菓子を3個買ったときに、手に入る天使シールの枚数をX とおきましょう。X の実現値は、0,1,2,3のいずれかですが、それぞれの確率はいくつでしょうか。


X=3(3個とも天使シール)の確率は p^3 です。X=0(3個とも悪魔シール)の確率は (1-p)^3 です。ここまでは簡単ですね。では X=2(2個が天使シール)の確率はいくつでしょうか。


X=2 のシナリオは3つあります。(悪魔,天使,天使)(天使,悪魔,天使)(天使,天使,悪魔)の3つです。1個目だけが悪魔シールである確率は(1-p) \times p \times p です。2個目だけが悪魔シールである確率は p \times (1-p) \times p,3個目だけが悪魔シールである確率は p \times p \times (1-p)。計算するとどのシナリオの確率も同じ p^2(1-p) です。よって求める確率は 3 p^2(1-p) となります。


あとで応用がきくよう、この考え方を図で表して理解を深めましょう。(図では「天使シール」を「成功」と呼んでいます。)



左上から出発し、試行の度に、成功したら下へ、失敗したらまっすぐ右へ進むとします。たとえば、赤線でなぞられているのは(失敗、成功、成功)というシナリオです。2回成功する確率を求めるためには、「2回成功するシナリオが何通りあるか」と「各シナリオの確率はいくつか」を考えます。2回成功するシナリオは _3C_2 通りあり、1つ1つの確率は p^2(1-p)^1 なので、両者の積 _3C_2 p^2(1-p)^1 が求める確率というわけです。


一般に N 回のうち k 回成功するというシナリオは _NC_kN 個から k 個選ぶ組合せ)通りあり、各シナリオの確率は p^k(1-p)^{N-k} です(なぜなら k 回成功、N-k 回失敗だから)。よって、ちょうど k 回成功する確率は _NC_k\;  p^k(1-p)^{N-k} となります。

エクセルで確率を計算

二項分布に関する確率は、エクセルのBINOM.DIST関数を使って簡単に求めることができます。


この関数の引き数は4つで、順に「成功回数 k」「試行回数(size) N」「成功確率(prob) p」「累積確率か否か(後述)」です。例えばコインを3回投げるときに、裏がちょうど0回、1回、2回出る確率はそれぞれ

= BINOM.DIST(0, size=3, prob=0.5, FALSE)
= BINOM.DIST(1, size=3, prob=0.5, FALSE)
= BINOM.DIST(2, size=3, prob=0.5, FALSE)

です。


成功回数が「ちょうど◯回である確率」ならば最後の引き数はFALSEにしますが、「◯回以下である確率」の場合はTRUEにします。これは「累積確率」と呼ばれています。たとえば、コインを3回投げたときに裏が「2回以下」(つまり0回または1回または2回)である確率は

= BINOM.DIST(2, size=3, prob=0.5, TRUE)

です。エクセルでこの関数を実際に使ってみながら、5枚も10枚もコインを投げた場合の確率分布を求めてみてください。



次回は、二項分布の期待値と分散がどうなるかを説明します。



今日のポイント
パラメータが (N, p) の二項分布で実現値が k となる確率は、_NC_k\;  p^k(1-p)^{N-k} である。




>> 確率分布(離散型)(7)二項分布の期待値,分散,標準偏差

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