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行列の積で表す1 連立一次方程式
中学校の数学では、「式の展開」の反対の操作として、「因数分解」を教わりました。「行列の積の計算」の反対の操作は、「行列の積で表す」ことです。
例えば
という2つの式は
と表せます。ということは、
という連立方程式は
と書き表せます。これが、「行列の積で表す」ということです。
今度は、3変数 の方程式を考えましょう。
という連立方程式はどうでしょうか。これは
と書けるので
とおけば、
と書けます。 は連立方程式の「係数行列」と呼ばれます。
連立一次方程式をこのように表したあと、大学の先生は「両辺の左から逆行列をかけると‥‥
‥‥はい、これで連立方程式が解けました」と言います。「いやいや、ちょっと待ってください、解けてないでしょ。 を計算してないでしょ」とツッコミたくなるものですが、実際には、逆行列はエクセルなどの計算機ソフトで瞬時に求められるので、連立方程式は解けたとみなされます。( を としただけで、方程式を解いたことになるのと同じです。)
次の連立一次方程式を、エクセルで解いてみましょう。
まず係数行列 と、右辺の数字を集めたベクトル を、エクセル上に作ります。
そのうえで、 を計算します。 の逆行列には MINVERSE 関数を、これと との積には MMULT 関数を使います。
確定はいつもどおり、Ctrl + Shift + Enter です。
答えは です。この方法で、たとえ変数が100個あっても、連立一次方程式は一瞬にして解くことが可能です。
今回は連立1次式を行列の積で表しました。次回は2次式を行列で表してみたいと思います。
>> 行列の基本(16)行列の積で表す2 二次形式