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逆行列1 逆行列の定義


3の逆数は 1/3です。ある数の逆数とは、その数との積が1になる数のことです。行列にも似たようなものが存在します。今回は「逆行列 (Inverse matrix)」を学びましょう。


Aが正方行列とします。Aの逆行列とは、Aとの積が単位行列になる行列のことです。例えば

    \begin{eqnarray*} A = \left( \begin{array}{cc}  1& 2 \\  3 & 4 \end{array} \right)  \end{eqnarray*}


の逆行列は

    \begin{eqnarray*} \left( \begin{array}{cc}  -2& 1 \\  1.5 & -0.5 \end{array} \right)  \end{eqnarray*}


です。実際、A の前から掛けても、後ろから掛けても、

    \begin{eqnarray*} \left( \begin{array}{cc}  1& 2 \\  3 & 4 \end{array} \right) \left( \begin{array}{cc}  -2& 1 \\  1.5 & -0.5 \end{array} \right) = \left( \begin{array}{cc}  1& 0\\  0 & 1 \end{array} \right) \end{eqnarray*}


    \begin{eqnarray*}  \left( \begin{array}{cc}  -2& 1 \\  1.5 & -0.5 \end{array} \right)  \left( \begin{array}{cc}  1& 2 \\  3 & 4 \end{array} \right)  = \left( \begin{array}{cc}  1& 0\\  0 & 1 \end{array} \right) \end{eqnarray*}


というように、単位行列になります。そのような行列は、必ず存在するとは限りませんが、存在するとすれば1つだけです。それを逆行列というのです。よく、「Aの逆行列は?」という問に対して、間違って「転置行列」を答えてしまう学生がいます。混乱しないよう、定義をしっかり暗記してください。


行列Aの逆行列は、A^{-1}と表します。ですから

    \begin{eqnarray*} A = \left( \begin{array}{cc}  1& 2 \\  3 & 4 \end{array} \right)  \end{eqnarray*}


のとき

    \begin{eqnarray*} A^{-1} = \left( \begin{array}{cc}  1& 2 \\  3 & 4 \end{array} \right)^{-1} =  \left( \begin{array}{cc}  -2& 1 \\  1.5 & -0.5 \end{array} \right)  \end{eqnarray*}


と書きます。


逆行列はどのように求めるのでしょうか。2 \times 2 の行列に関しては、公式を使って逆行列を求められます。次回はそれを説明します。

>> 行列の基本(12)逆行列2 2×2の逆行列の公式