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行列の転置
行列の転置 (Transpose) とは、行列の縦横をひっくり返すことです。例えば
であるとき、 の「転置行列」は または と表し、これは単に
を意味します。 は transpose の頭文字です。転置によって、縦に1, 3, 5となっていたものが、横に1, 3, 5 となります。数学らしい一般的な言い方をすれば、元々の 第 成分が、第 成分となるのです。
転置によって、横ベクトルは縦ベクトルに、縦ベクトルは横ベクトルになります。文章中では、 などと書くと行間が開き過ぎる原因となるので、転置記号の を用いて とか、 などと書きます。どちらも、 が縦ベクトルであることを表しています。
エクセルで行列を転置するときに使うのは、TRANSPOSE 関数です。転置したい行列の範囲を指定します。
これも行列関数なので、確定のときは Ctrl + Shift + Enter を同時に押してください。
行列の転置は縦横を逆転するだけで、これ自体は大したことはありません。しかし、行列のかけ算との兼ね合いで、大事な定理が1つあります。それは
というふうに、行列の積を計算してから転置したものと、それぞれの行列を転置したものを逆順にかけ算したものが、同じになるという定理です。(証明へ)
具体例を1つ見てみましょう。
のとき、
ですから、
です。一方、 を計算してみると
ですから、 となりました。
次回は「単位行列」という特別な行列を紹介します。
>> 行列の基本(10)単位行列
定理の証明:(戻る)
を証明するには、
「 の第 成分 = の第 成分」
となることを証明する。
の 第 成分
= の 第 成分
= の第 行 と の第 列の内積
である。一方、
の第 成分
= の第 行と の第 列の内積
= の第 列と の第 行の内積
よって両者は等しいことを確かめられた。
2つの行列で成り立つならば、帰納的に3つ以上でも成立することが証明できる。すなわち、