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行列の転置
行列の転置 (Transpose) とは、行列の縦横をひっくり返すことです。例えば

であるとき、

を意味します。
転置によって、横ベクトルは縦ベクトルに、縦ベクトルは横ベクトルになります。文章中では、
などと書くと行間が開き過ぎる原因となるので、転置記号の エクセルで行列を転置するときに使うのは、TRANSPOSE 関数です。転置したい行列の範囲を指定します。

これも行列関数なので、確定のときは Ctrl + Shift + Enter を同時に押してください。

行列の転置は縦横を逆転するだけで、これ自体は大したことはありません。しかし、行列のかけ算との兼ね合いで、大事な定理が1つあります。それは
![]()
![]()
というふうに、行列の積を計算してから転置したものと、それぞれの行列を転置したものを逆順にかけ算したものが、同じになるという定理です。(証明へ)
具体例を1つ見てみましょう。

のとき、

ですから、

です。一方、

ですから、
次回は「単位行列」という特別な行列を紹介します。
>> 行列の基本(10)単位行列
定理の証明:(戻る)
を証明するには、
「
の第
成分 =
の第
成分」
となることを証明する。
の 第
成分
=
の 第
成分
=
の第
行 と
の第
列の内積
である。一方、
の第
成分
=
の第
行と
の第
列の内積
=
の第
列と
の第
行の内積
よって両者は等しいことを確かめられた。
2つの行列で成り立つならば、帰納的に3つ以上でも成立することが証明できる。すなわち、
