目次

<< 1011121314151617

行列のかけ算3 AB


次は2つの行列のかけ算です。例として、次の2つの行列の積を考えましょう。

    \begin{eqnarray*} A= \left( \begin{array}{cc}  a_{1,1}& a_{1,2}\\  a_{2,1} & a_{2,2}\\  a_{3,1} & a_{3,2}  \end{array} \right)  \end{eqnarray*}



    \begin{eqnarray*} B= \left( \begin{array}{ccc}  b_{1,1}& b_{1,2} & b_{1,3}\\  b_{2,1} & b_{2,2} & b_{2,3}\end{array} \right)  \end{eqnarray*}


まず、積ABです。

    \begin{eqnarray*} AB= \left( \begin{array}{cc}  a_{1,1}& a_{1,2}\\  a_{2,1} & a_{2,2}\\  a_{3,1} & a_{3,2}  \end{array} \right)  \left( \begin{array}{ccc}  b_{1,1}& b_{1,2} & b_{1,3}\\  b_{2,1} & b_{2,2} & b_{2,3}\end{array} \right)  \end{eqnarray*}



先行する A は横に、後行の B は縦に切ります。



そして、Aから1行、Bから1列取ってきて、内積を求めます。例えば、A の1行目と B の1列目の内積は、第(1,1)成分に書き込みます。



A が3行、B が3列を有するので、3 \times 3 通りの組み合わせがあります。以下の数値例では、A の各行、B の各列を色分けして表示してあります。




この例では、A が3行、B が3列を有するので、AB のサイズは 3 \times 3 になりました。


つぎに、積BAを考えましょう。

    \begin{eqnarray*} BA=  \left( \begin{array}{ccc}  b_{1,1}& b_{1,2} & b_{1,3}\\  b_{2,1} & b_{2,2} & b_{2,3}\end{array} \right)  \left( \begin{array}{cc}  a_{1,1}& a_{1,2}\\  a_{2,1} & a_{2,2}\\  a_{3,1} & a_{3,2}  \end{array} \right)  \end{eqnarray*}


先行する B は横に、後行する A は縦に切ります。B は2行、A は2列あるので、内積の組み合わせは 2\times 2 通りあります。




かけ算の結果はサイズが 2\times 2 の行列となります。さっきと同じ数値例で BA を計算してみましょう。




ABBA は結果が異なっていますね。行列のかけ算は、順番が変われば別物なのです。


エクセルによる計算は、動画に示しておきます。




「かけ算の順番をひっくり返すと答えが変わる」ことの確認も兼ねて、1つ例題をやってみましょう。

    \begin{eqnarray*} U &=& \left( \begin{array}{cc}  1& 10\\  100 & 1000  \end{array} \right)\\\\  V &=& \left( \begin{array}{cc}  1& 2 \\  3 & 4 \end{array} \right)  \end{eqnarray*}



UVVU をそれぞれ計算してください。先行する行列は横に区切り、後行する行列は縦に区切ることを忘れずに。

    \begin{eqnarray*} UV &=& \left( \begin{array}{cc}  1& 10\\  100 & 1000  \end{array} \right)  \left( \begin{array}{cc}  1& 2 \\  3 & 4 \end{array} \right) \\\\ &=&  \left( \begin{array}{cc}  1\times 1 + 10 \times 3 & 1 \times 2 + 10 \times 4 \\  100\times 1 + 1000 \times 3 & 100 \times 2 + 1000 \times 4 \end{array} \right) \\ \\&=& \left( \begin{array}{cc}  31& 42\\  3100 & 4200  \end{array} \right)  \end{eqnarray*}



    \begin{eqnarray*} VU &=&  \left( \begin{array}{cc}  1& 2 \\  3 & 4 \end{array} \right)  \left( \begin{array}{cc}  1& 10\\  100 & 1000  \end{array} \right) \\ \\&=&  \left( \begin{array}{cc}  1\times 1 + 2 \times 100 & 1 \times 10 + 2 \times 1000 \\  3\times 1 + 4 \times 100 & 3 \times 10 + 4 \times 1000 \end{array} \right) \\\\ &=& \left( \begin{array}{cc}  201& 2010\\  403 & 4030  \end{array} \right)  \end{eqnarray*}


となります。


すでに気づいている人もいるかもしれませんが、行列のかけ算の結果が、どんなサイズの行列になるかは、もとの2つの行列のサイズによって決まります。次回はそれを整理したいと思います。

>> 行列の基本(7)行列のかけ算4 行列のサイズ