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行列の積で表す2 二次形式
今日のテーマは、「2次式」を行列を使って表すことです。2次式というと、例えば のような式を思い浮かべますが、今日扱うのは、1次の項や定数項を含まない、純粋な2次式です。そのような純粋な2次式を「二次形式 (quadratic form)」と言います。例えば
1変数 の二次形式:
2変数 の二次形式:
ここで、 や は「2乗の項」、 は ( と の)「交差項」と呼びます。 や など、3次以上の項が無いことがポイントです。
二次形式は、行列で表すことができます。例えば
というふうに、3つの行列の積で表せるのです。
やり方は簡単です。2変数の場合、まずは の正方行列を作ります。2乗の項の係数( の係数1と、 の係数 )を対角成分に並べてください。
次に、 の係数 を、半分にして(1,2)成分と(2,1)成分の両方に書き込みます。
そうして出来上がった行列を、と でサンドイッチして完了です。正式ではありませんが、この形で表した二次形式を、サンドイッチ型 (sandwich form)と呼ぶこともあります。
サンドイッチ型を展開して、元に戻ることを確認しておきましょう。展開すると
ですから、最初の二次形式に戻ります。
3変数の場合も同様です。3変数 の二次形式とは、例えば
です。2乗の項が3つ、交差項が3つありますね。これも、正方行列を と でサンドイッチした積で表すことができます。
です。真ん中の行列では、2乗の項の係数 131, 58, 24 は対角成分に並べます。一方、交差項の係数は、2分の1して非対角成分に並べます。並べ方は (1,2)成分と(2,1)成分には の係数の半分(つまり92/2=46)、(1,3)成分と(3,1)成分には の係数の半分(つまり 54/2=27)を配置する、といった具合です。
二次形式で表される関数は、このように行列表記しておくと、関数の値を求めたいときに、エクセルの MMULT 関数を使って素早く計算することができます。
さて、これで行列の基本の勉強は終わりです。次回はここまでの理解度チェックをしてみましょう。
>> 行列の基本(17)理解度チェック正誤問題