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行列のかけ算5 ABC


行列が3つ以上あるとき、それらの積について考えましょう。例えば

    \begin{eqnarray*} A= \left( \begin{array}{cc}  1& 2\\  3 & 4\\  5 & 6 \end{array} \right)  \end{eqnarray*}



    \begin{eqnarray*} B= \left( \begin{array}{cc}  10& 20 \\ 30 & 40 \end{array} \right)  \end{eqnarray*}



    \begin{eqnarray*} C= \left( \begin{array}{ccc}  9 & 8 & 7 \\  6 & 5 & 4 \end{array} \right)  \end{eqnarray*}


のとき、積 ABC はどうなるでしょうか。

    \begin{eqnarray*} ABC= \left( \begin{array}{cc}  1& 2\\  3 & 4\\  5 & 6 \end{array} \right)  \left( \begin{array}{cc}  10& 20 \\ 30 & 40 \end{array} \right) \left( \begin{array}{ccc}  9 & 8 & 7 \\  6 & 5 & 4 \end{array} \right) \end{eqnarray*}


ABC は、まず AB の部分をかけ算し、その結果を C と掛ければいいです。つまり (AB)C を計算します。あるいは、A(BC) というふうに、後ろの2つを先にかけ算しても同じです。計算する順番は変えてもいいのですが、行列の並び順を変えてはいけません。CBA のように行列の順番を変えると、たとえ積が計算できたとしても、結果は異なります。


もうひとつ、計算結果のサイズがいくつになるかも、きちんと予想してください。先頭の行列 A が3行あり、最後の行列 C が3列なので、ABC3 \times 3 の行列になるはずです。答えはエクセルで求めてみましょう。


エクセルで3つの行列の積を求めるときは、ちょっとした工夫が必要です。というのも、第(6)回で用いたMMULT関数は、2つの行列の積しか求められないからです。3つ掛けたいときは、MMULT関数を入れ子にして2回使用します。




確定するときは Ctrl + Shift + Enter です。




さて、5回にかけて、行列のかけ算を学んできました。行列のかけ算ができるようになったところで、次回は「行列の転置」と、それに関する大事な定理を紹介します。

>> 行列の基本(9)行列の転置