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モデルの解析解
方程式を解く際に、外生パラメータに具体的な数値を入れずに、一般的な文字のまま求めた解のことを「解析解」と言います。中学で習う「二次方程式の解の公式」が解析解の一例です。45度線モデルは連立一次方程式なので、解析解を求めることができます。
前回、式の数を最終的に2本にまで減らしました。産出と消費
に関して

です。ここから解析解を求めるには、まず、1本目の式の消費に、2本目を代入して
を消去します。

それからを左辺に集めます。

あとは両辺をで割れば、産出
が求まります。経済学では「解だ」ということを強調するために、よくアスタリスク(*)をつけるので、ここでもそうしておきます。
が0と1の間の数であるという仮定も思い出してください。

を求めるには、今求めた
を2本目の式に戻して整理するか、あるいは最初から
を消去する代わりに
を消去するのも手です。答えは

です。これで解析解が求まりました。右辺には外生パラメータしかないことを確認してください。
続いて、前回も出てきた比較静学をやってみましょう。政府が支出をだけ増やしたら(注:経済学では、
の変化分は
と記します)、均衡における
や
はどれだけ増えるでしょうか。先ほど求めた解を見ると分かります。
の変化は、
の変化の
倍ですし、
の変化は、Gの変化の
倍ですね。(詳細はこちら)
では政府が税金をだけ増やしたらどうでしょうか。増税すると、この世界のGDPや消費は下がると思われますが、どれくらい下がるでしょうか。これも解を見れば分かります。
の変化、
の変化ともに、
の変化の
倍となるはずです。
これらの結果をまとめておきましょう。

たとえば、増税するとGDPは減少
することが分かります。逆に、減税した場合は
はマイナスなので、GDPは増加します。これが、「前ばらし」のところで予告した、45度線モデルの1つめのメッセージです。
これらは結果だけ見ると「ふーん」で終わってしまいますが、実はここに、よく知られた45度線モデルの、よく知られていないメッセージが含まれています。次回はそれについてです。
>> GDPの45度線モデル(10)「乗数効果」再検証
