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支出
今日のポイント
生産されたものを使うことを「支出」と呼ぶ。支出は消費 (C)、投資 (I) 、政府 (G)、海外の4つに分かれる。
GDP(国内総生産)は、ある年に作られた全ての物の合計ですが、作られた物がその後どうなるか、考えたことがありますか。もちろん、作られたものは誰かが使うことになるのですが、いったい誰が何の目的で使うのでしょうか。今日はそれがテーマです。
マクロ経済学では、作る側を「生産(産出)」と呼び、使う側を「需要」または「支出」と呼びます。具体的な物でイメージするときは需要、金額でイメージするときは支出と呼ぶ傾向がありますが、指しているものは同じです。生み出された価値を使ってしまうことを表す言葉です。
需要・支出は、誰がどんな用途に用いるかによって、いくつかに分類されます。「誰」の方には、「家計」「企業」「政府」「海外」の4つがあります。家計と企業を合わせて「民間」、それに対し政府のことを「公共」とも呼びます。
「用途」の方は消費と投資の2種類です。基本は「家計は消費、企業は投資」すると覚えましょう。家計が買って使ったら1つの例外を除いて全て「消費」に分類します。例外は住宅で、 これだけは「投資」に分類する決まりです。一方、企業が何年も利用する目的で買い物をしたら、全て「投資」に分類します。
政府の支出は消費と投資の両方を含み、それぞれ「政府消費」「政府投資」と呼びます。これとの対比では、家計・企業による消費・投資を「民間消費」「民間投資」と呼びます。最後に、海外の家計や企業が使った物は、消費か投資かは気にせず、全部ひとくくりに「海外」とします。
こうして、マクロ経済の需要・支出に区分ができます。海外部門はひとまず横に置いておくと、よく用いられる第1の分け方は、「民間消費、投資、政府消費」の3区分です(図1)。この場合は、投資に関しては民間も政府も一緒にしてしまいます。
第2の分け方は、「民間消費・民間投資・政府」の3区分に分けるやり方です(図2)。この場合は、政府による支出は消費も投資も区別しません。
消費、投資、政府は、それぞれ英語のConsumption, Investment, Government の頭文字をとってC, I, Gで表します。C, I, Gの意味するところは、図1と図2の二通りあることに注意してください。特に断りがない場合は後者で、教科書にもっともよく出てくるのは、これに「海外」を加えた4区分です。
「支出」については分かりましたか。これを踏まえて、次回はGDPに3つの顔があるという話です。
>> GDPの45度線モデル(3)生産面GDP,所得面GDP,支出面GDP