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ボルダ・カウント


今回は「ボルダ・カウント (Borda Count)」というグループの意思決定の方法を説明します。


ボルダ・カウントでは、各メンバーが選択肢に順位をつけて報告します。例えば
フットベース \succ ドッジボール \succ サッカー \succ 隠れんぼ
という人であれば、
フットベース=1、ドッジボール=2、サッカー=3、隠れんぼ=4
です。そうやって各メンバーに点数をつけさせて、全員の点数を合計し、フットベースは合計何点か、ドッジボールは合計何点か・・・を求めます。そうして、合計点が一番低い選択肢を選びます。合計点が低い選択肢は、多くの人が上位に挙げる選択肢です。この方法なら、ボール遊びがたくさん候補に上がることで、結果的に隠れんぼが選ばれるという事態は起こりません。


具体的な数字を使ってボルダ・カウントを練習してみましょう。(この例は次回も用います。)今、カップルが、ボルダ・カウントで見に行く映画のジャンルを決める状況を考えましょう。二人の選好はそれぞれ

彼氏:アクション \succ コメディー \succ ロマンス \succ ホラー
彼女:コメディー \succ ロマンス \succ アクション \succ ホラー

だとします。彼氏のつける点数はアクション1、コメディー2、ロマンス3、ホラー4です。一方、彼女のつける点数はコメディー1、ロマンス2、アクション3、ホラー4です。合計点はコメディー3、アクション4、ロマンス5、ホラー8ですから、ボルダ・カウントのもとではカップルの選好は「コメディー\succ_gアクション」、つまりアクションよりもコメディーが良いということになります。


このようにボルダ・カウントは、各メンバーの「どっちが好きか」だけでなく、「どれくらい好きか」も考慮したルールとなっています。ボルダ・カウントにダミー擁立策は効きません。それは良いのですが、別の問題があります。それは「無関係な選択肢からの独立」という条件を満たしていないことです。次回はこの条件を説明します。

>> 社会選択論(7)「無関係な選択肢からの独立」