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3種類の生産関数


生産要素(資本や労働)を投入すればするほど、多くの財を産出することができます。この、「投入量」と「産出量」の関係を表すときに用いるのが「生産関数 (Production function)」です。生産関数には、いくつかの種類があります。



1.労働のみをインプットとする生産関数

    \begin{eqnarray*}Y = F(N)\end{eqnarray*}


Y は産出量、F が生産関数、N は労働の投入量です。素手でワラジを編むような、設備を必要としない生産を表現しています。現代でこのタイプの生産に最も近いのは、家庭教師やコンサルティングなどの専門職でしょうか。(実際にはどんな業種でも多少の設備は必要です。この関数を使うのは、設備が不要だからいうよりも、話を単純化したいからだと理解しましょう。)



2.資本のみをインプットとする生産関数

    \begin{eqnarray*}Y = F(K)\end{eqnarray*}


K は資本の投入量です。労働を全く必要としない生産、たとえば完全自動化された製造工場の生産を表現したものです。(実際の工場には、機械の管理・点検をする人がいるでしょう。このタイプの関数を使うのも、話を極度に単純化したいときだと理解しましょう。)



3.資本と労働の両方をインプットとする生産関数

    \begin{eqnarray*}Y = F(K, N)\end{eqnarray*}


厨房設備と料理人、航空機とパイロットといった具合に、ほとんどの産業は資本と労働の両方を必要としますから、このタイプの生産関数がぴったり当てはまります。


このタイプの関数でよく用いられる重要なものが、「コブ・ダグラス型」の生産関数です。

    \begin{eqnarray*}Y = F(K, N) = AK^{\alpha} N^{1-\alpha}\end{eqnarray*}


という形をした関数(ただし0 < \alpha < 1)です。A はその国の発展の度合い(設備や労働者の能力)を、\alpha は資本と労働の重要度の比を表します。コブ・ダグラス型は、マクロ経済学で最も頻繁に使う生産関数ですから、ぜひこれを機に覚えてください。


コブ・ダグラス型の生産関数では、投入量を倍にすると産出量も倍になります。次回はそれを説明します。

>> 生産のモデル化(4)収穫一定

珈家(埼玉 越谷)