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これから数回にわたって、主に「生産」について学んでいきます。生産の増減を説明し、予測することはマクロ経済学の主要なテーマだからです。たとえば、生産が長期的に増えていけば「経済成長」、短期的に増えれば「好況」、減れば「不況」と呼ばれます。


生産の担い手は「生産者」と呼ばれ、主に企業のことを指します。マクロ経済学の多くのモデル(すなわち、シミュレーションをするための模型世界)の中でも、無数の生産者が財やサービスを生産しています。


実際の世の中には、建設、情報、医療、エンターテイメントなど、多種多様な産業があります。しかし、マクロ経済学のモデルは模型ですから、そういった多様性は削ぎ落とし、極めて単純化・抽象化された「生産」を考えます。


今回のシリーズの目標は、マクロ経済学が、生産活動をどのように単純化・抽象化するかを、きちんと勉強することです。教科書では普通はあまり説明してくれないことです。しかし、丁寧に勉強しておいた方が、このあとの「経済成長論」の理解がずっとスムーズになるでしょう。


生産とは、何らかのリソースが投入され、別の何かが産出される過程です。投入の量を決めることで、産出の量が決まるという関係があります。生産を単純化するには、「投入」「産出」そして「両者の関係」を単純化する必要があります。次回はそのなかでも、「産出」の単純化を説明します。

>> 生産のモデル化(1)産出 =「一種類の財」

ヒナノ珈琲(埼玉県越谷市)