目次へ

>> 1011

コーディネーション・ゲームの場合2


前回のA君とBさんのゲームは、2人揃えばハッピーというシナリオでしたが、3人のコーディネーション・ゲームというのもあります。3人揃えば練習できるけど、1人でも欠けると全く練習にならない、なんて状況ありますよね。


確率を理論的に求めるためには、正確な利得が必要です。わざわざ出かけるのは大変だけれど、全員そろった時は嬉しい、という状況を表す利得を設定します。出かけて行って全員そろったときの利得は0.75万円、自分は出かけたのに誰か来ない人がいたときの利得は-0.25万円、出かけずに家で寝ているときの利得は0万円としましょう。


話を簡単にするために、自分は行ったのに全員そろわなかった場合、他にもう1人来たかどうかは、利得に関係ないという仮定にします。また、家で寝ているときの利得も、他の人たちは行ったのかどうかに関係なく0ということにします。


人数はひとり増えましたが、考え方は前回と似ています。他の2人がそれぞれ行く確率は、あなたに行くかどうかを迷わせるような確率です。他の2人はそれぞれ確率 p で行き、確率 1-p で家にいるとして、あなたの無差別性からpを求めます。


あなたがわざわざ出かけて行ったとき、残りの2人がともに来る確率は p^2 で、このときだけ0.75万円を得ます。残りの2人のうち、どちらか一方でも来ない確率は 1-p^2 で、このときは -0.25 万円の損です。つまり、行った場合のあなたの期待利得は 0.75p^2 +(-0.25)(1-p^2) で、整理すると p^2 - 0.25 万円になります。


一方、あなたが家で寝ていたとしたら、利得は0万円ですから、あなたが行くかどうか迷うためには p^2 - 0.25=0 でなければいけません。この方程式の解は、p=0.5 です。


他の2人がそれぞれ p=0.5 を選ぶ、つまり五分五分の確率で来るという場合、2人そろって来る確率は0.25です。このとき、あなたが行くかどうかが、ちょうど無差別になります。無差別だから、あなたも五分五分の確率で行くとなれば、状況は残りの2人にとっても同じです。こうして、3人が「それぞれ確率0.5で行き、確率0.5で行かない」というのが、このゲームの混合戦略均衡となります。


次回はプレーヤーが2人の「タダ乗りゲーム」で混合戦略均衡を探してみましょう。

>> 混合戦略(7)タダ乗りゲームの場合1