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無限和を求める


初項 a, 公比 q の無限に続く等比数列の和を S_a とおくことにします。すなわち

    \begin{eqnarray*}S_a=a + aq + aq^2 + aq^3 + \cdots \end{eqnarray*}


特に、初項が1の場合は a=1 より、

    \begin{eqnarray*}S_1=1 + q + q^2 + q^3 + \cdots \end{eqnarray*}


S_aS_1a 倍することで求まります。では S_1 はどう求めるかというと、ちょっとしたトリックを使います。

    \begin{eqnarray*}S_1 &=& 1 + q + q^2 + q^3 + \cdots \\S_1 &=& 1 + q(1+q + q^2 + \cdots )\\S_1 &=& 1 + qS_1\end{eqnarray*}


このように、第2項以下を q でくくると、右辺にも S_1 が現れます。したがって

    \begin{eqnarray*}S_1 - qS_1 &=& 1\\(1-q)S_1 &=& 1\\S_1 &=& \frac{1}{1-q}\end{eqnarray*}


結果を公式として表しておきましょう。


等比数列の無限和の公式

-1<q<1 のとき

    \begin{eqnarray*}&&1 + q + q^2 + q^3 + \cdots  = \frac{1}{1-q}\\&& a + aq + aq^2 + aq^3 + \cdots = \frac{a}{1-q}\end{eqnarray*}




前回出てきた2つの例に当てはめてみましょう。1つめの例では a=1/2q=1/2,2つめの例では a=0.9q=0.1 でした。公式を使えば

    \begin{eqnarray*}&& \frac12 + \frac14 + \frac18 + \frac{1}{16} + \cdots = 1\\\\&&0.9999999999\cdots = 1\end{eqnarray*}


と分かります。やってみてください。


どうでしたか。等比数列の無限和の公式は、ぜひ導出のトリックも覚えてくださいね。次回の演習問題では、経済学でよく登場する等比数列の無限和を求めてみましょう。

>> 等比数列の和(5)無限和を求める(練習)