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第n項までの和


このシリーズでは、等比数列の和を勉強しましょう。第1・2回では「n番目までの和」を勉強します。今日学ぶのは以下の2つの公式です。


第n項までの和(初項が1の場合)

    \begin{eqnarray*} 1 + q + q^2 + \cdots + q^{n-1} = \frac{1 - q^n}{1-q}\end{eqnarray*}



第n項までの和(初項が a の場合)

    \begin{eqnarray*}a + aq + aq^2 + \cdots + aq^{n-1} =  \frac{a(1 - q^{n})}{1-q}\end{eqnarray*}




1つめの公式をしっかり導出できるようにしましょう。(1つめの公式の左辺と右辺をそれぞれ a 倍すれば、2つめの公式になります。)


導出のしかたは2つあります。1つは、因数分解の公式

    \begin{eqnarray*}1 - x^n &=& (1-x)(1+x+x^2+\cdots + x^{n-1}) \end{eqnarray*}


を使うことです(注1)。この公式の左右をひっくり返して両辺を 1-x で割れば

    \begin{eqnarray*}1+x+x^2+\cdots + x^{n-1} = \frac{1 - x^n}{1-x}\end{eqnarray*}


あとは xq に変えるだけで、冒頭の公式の出来上がりです。


もう1つの導出方法は、高校の教科書にも載っている方法です。この方法では、まず求める和を S と置きます。そして、qS を求めます。

    \begin{eqnarray*}S &=& 1 + q + q^2 + \cdots + q^{n-1}\\qS &=& q + q^2 + \cdots + q^{n} \end{eqnarray*}


2つの式を、辺々引き算すると

    \begin{eqnarray*}S - qS = 1 - q^{n}\end{eqnarray*}


となります。左辺は (1-q)S なので

    \begin{eqnarray*}S  = \frac{1 - q^{n}}{1-q}\end{eqnarray*}


と求まります。


この公式は丸暗記するのではなく、ぜひ導出のしかたも覚えてください。次回は経済学で頻繁に出てくる例を使って、この公式を練習してみましょう。

>> 等比数列の和(2)第n項までの和(練習)


注1)
n=2 の場合は中学で教わる公式
1 - x^2 = (1-x)(1+x)

n=3 の場合は高校で教わる公式
1 - x^3 = (1-x)(1+x+x^2)

に対応します。ぜひ一般の n の場合も覚えてください。