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蓄積率

ある年の所得は、その年のうちに消費されるか、将来のために貯蓄されます。所得に占める貯蓄の割合が「貯蓄率 (saving rate)」です。たとえばある年の国民所得が100兆円で、消費が80兆円、貯蓄が20兆円ならば、貯蓄率は20%です。


ところで、一国の所得は産出 (GDP)に等しく、貯蓄は投資に等しくなります。「産出=所得」である理由は、「生み出された価値は、必ず誰かしらの物になるから」です。一方、「投資=貯蓄」である理由はちょっと難しいのでここでは説明しません。あやふやな人は「総貯蓄1・2」の項を復習してください。


そういうわけで「所得を消費と貯蓄に分ける」ことは、「産出を消費と投資に分ける」ことと同じになります。以前登場した “マジカル・ポテト” でイメージするなら、産出が消費と投資に分けられる様は、こんなイメージでしょうか。


もともとの定義は
(貯蓄率)=(貯蓄)/(所得)
ですが、以上の理由から、産出に占める投資の割合も、貯蓄率に等しくなります。


このように、産出が消費と投資(貯蓄)に分けられるイメージに慣れていると、これから勉強するドーマーやソローの経済成長モデルが理解しやすくなるでしょう。


準備が整ったので、次回はドーマー・モデルを説明します。

>> 経済成長論(6)ドーマー・モデル1 数式編