資本の蓄積
マルサス・モデルには登場しませんでしたが、経済成長のためには「資本の蓄積」が必要です。資本の蓄積をどう数式で表すかを勉強します。
まず、「資本」とは何でしょうか。漠然と用いられる言葉ですが、ドーマーやソローの経済成長理論における意味は限定されています。資本とは、「生産に利用される設備」のことです。具体的には、ビルや工場、車、機械、コンピューターシステムやネットワークなどを指します。こうしたものを増やす行為を「投資」と呼び、これらが古くなったり壊れたりすることを「減耗」と呼びます。資本の蓄積を式で表すときには、投資と減耗の両方を考慮する必要があります。
時点 におけるある国の資本の総量を、
と表すことにしましょう。次の期の資本の量
は以下の式で決まります。



ドーマー・モデルやソロー・モデルの差分方程式には、この資本蓄積式が加わりますので、見なくても書けるくらいに慣れてください。次回は、資本の蓄積が「貯蓄」と結びついていることを説明します。
>> 経済成長論(5)貯蓄率