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バリュー株・グロース株1

今日のテーマは、ファイナンスに出てくる「バリュー株 (value stock)」・「グロース株 (growth stock)」の対概念です。この2つは理論的にやや込み入っており、ネット上の説明にもしばしば混乱が見られます。そこで、今回から2回にわたってきちんと整理したいと思います。


まず、一般的に知られている(やや不正確な)定義から始めましょう。それは

「バリュー株 = 割安な株」
「グロース株 = 割高な株」

です。バリュー株は、しばしば「本来の価値と比べて割安な株」と説明されます。マクドナルドの「バリューセット」のイメージですね。一方、その反対がグロース株ですが、「割高な株」と言うと聞こえが悪いので「グロース株(成長株)」と呼びます。株が割高に見えるのは将来の成長を買われているからだ、と解釈してそう呼ぶのです。


しかし、「バリュー株 = 割安な株」という定義は正確ではありません。本やレコードであれば、たまたま良い物が安く売っていた、ということはあるでしょう。しかし株式は、世界中で何十万人という投資家が、24時間価格を監視しています。安いのにはわけがあるのが普通で、掘り出し物はありません。


バリュー株の正確な定義は、「その企業の『現状』と比べて価格が低めの株」です。例えば、建物や設備をたくさん保有している企業なのに株は安い。あるいは、現在たくさん利益を上げている企業なのに株は安い。そのような企業の株が「バリュー株」と呼ばれます。バリュー株であるとは「割安な株,お得な株」という意味ではなく、あくまで、現状と比べると株価は低めだというだけの意味です。一方、グロース株は「その企業の『現状』と比べて価格が高めの株」です。


バリュー株かグロース株かは、企業の現状に比して株価が高いか低いかで決まります。これを数字で判断するには、分子に「株価」を置き、分母にはその企業の現状を表すもの(保有する「純資産」の量、直近の「利益」、直近の「配当」など)を置いた指標を見ます。


分母に来る〇〇によって、「株価〇〇比率」または「株価〇〇倍率」と呼ばれます。たとえば

・株価 純資産 倍率
・株価 収益 比率
・株価 配当 比率

といった具合です (注1)。


次回はこのうち、「株価純資産倍率」と「株価配当比率」を解説したいと思います。

>> 配当割引モデル(7)バリュー株・グロース株2



(注1)「一株当たりか否か」を、分母と分子で揃えます。分子が一株の値段であれば、分母の方も「一株あたりの純資産」や「一株あたり利益」です。分子が発行済み株式の総額であれば、分母はその企業の純資産や利益の全額です。