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インフレがある場合の割賦


あなたが先祖代々の土地を売って得た代金1000万円を、子孫代々と分けようと考えたとします。しかも、インフレも考慮しながら平等に分けたいと考えたとします。というのも、インフレによって物価が毎年0.5%ずつ上昇していく世の中では、受け取る金額も毎年0.5%ずつ増えていくのでないと実質的に平等とは言えないからです。


そこで、受取り額が毎年一定率 g で増えていくようにしたい場合 (g=0.5\%=0.005),1年後に受け取れる金額 D 円がいくらになるかを考えましょう。金利(割引率)は i=0.01 とします。前回も出てきた式を使います。

    \begin{eqnarray*}S&=& \frac{D}{1+i} + \frac{D(1+g)}{(1+i)^2} + \frac{D(1+g)^2}{(1+i)^3}+ \frac{D(1+g)^3}{(1+i)^4} +\cdots \\\\&=& \frac{D}{i-g}\end{eqnarray*}


S=1000万円、i=0.01g=0.005 を代入するとD=5万円が出てきます。1年後には5万円受け取り、その後は自分の代も、子供の代も、孫やひ孫の代になっても、毎年0.5%ずつ受取り額が増えていけば、1000万円を(物価の上昇も考慮して)平等に分けたことになります。


7回にわたる「割引現在価値と割賦価値」のレッスンはどうでしたか。これらは経済学やファイナンスの基本的な概念です。

・n期間の場合
・無期限の場合(成長なし)
・無期限の場合(成長あり)

の3つの場合を区別して、しっかり復習してください。