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二重のシグマ その2


今回は、前回の最後に出てきた、シグマ記号が二重になったケースを発展させていきたいと思います。


今回は、クラスの数は6つあって、それぞれのクラスに40人の生徒がいるとしましょう。そして、i 組の、出席番号 j 番の生徒の点数が x_{i,j} で表されているとします。たとえば x_{2,30} ならば、2組・30番の生徒の点数です。


添え字が2つあるデータは、表の形で考えると理解しやすくなります。以下の表では、点数のデータが、組は上から下に6行、出席番号は左から右に40列つかって並べられています。


このように数字を縦横に並べたとき、数学では横方向を「 (row)」、縦方向を「 (column)」と呼ぶので覚えてください。この例は6行、40列の表です。行は「ノートの行」、列は「朝礼の列」と覚えると、縦横が覚えやすいです。


全員の点数の合計は、シグマ記号を使ってどう表せばいいでしょうか。表し方は1つではありません。たとえば

    \begin{eqnarray*}\sum_{\begin{array}{c} i=1,\cdots,6 \\  j=1,\cdots,40 \end{array}} x_{i,j} \end{eqnarray*}


とか、

    \begin{eqnarray*}\sum_{(i,j)=(1,1)}^{(6,40)} x_{i,j} \end{eqnarray*}


と表せます。これで、i は1組から6組まで、出席番号 j は1番から40番の生徒まで、点数を全て足しなさい、という意味になります。大事なのは読み手に曖昧さが残らないことです。


さて、ここからが今日の本題です。実は、2つのシグマを使って、足し算する順番を指定することもできるのです。まず各組で40人の合計点を求め、そのうえで6組分足す、というのであれば、

    \begin{eqnarray*}\sum_{i=1}^6 \left(\sum_{ j=1}^{40} x_{i,j} \right)\end{eqnarray*}


となります。内側のシグマ記号は、各 i 組に関して、40人の合計を計算しています。そのあとで、外側のシグマ記号に従って、6組分を足し合わせています。先ほどの表を使って説明するなら、まずは各行に関して合計を求めています。


そのうえで、各組の合計点を合算しているのです。


一方、シグマの順序を入れ替えて

    \begin{eqnarray*}\sum_{ j=1}^{40}  \left( \sum_{i=1}^6  x_{i,j} \right)\end{eqnarray*}


としたらどうでしょうか。この場合は、内側のシグマは、クラスは異なるが出席番号が同じ6人の合計をまず求めています。出席番号が1番の6人の点数の合計、出席番号が2番の6人の点数の合計・・・といった具合に、40個の合計点が求まります。その後、外側のシグマ記号にしたがい、その40個の数字を合計します。表でいうと、まずは各列の合計を求めていることになります。


添え字が2つある場合の二重のシグマの意味は分かってきたでしょうか。次回は、クラスごとに生徒の人数が異なる場合を考えましょう。

>> 和の記号シグマ(8)二重のシグマ その3