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添え字が2つの場合


今回から、x に添え字が2つ付いている例を見てみましょう。


仲良しな3人がいて、それぞれ「1」さん、「2」さん、「3」さんと呼ぶことにします。そして、x_{i,j} を「i さんがj さんに買ったクリスマス・プレゼントの費用」とします。たとえば x_{1,3} は、1さんが3さんに買ったプレゼントの費用です。


この場合、プレゼント費用の全体の合計は

    \begin{eqnarray*}\sum_{i,j} x_{i,j} \end{eqnarray*}


と書けます。「ijも(1から3まで)ひと通り代入して足してね」という意味で、全て書き出せば

    \begin{eqnarray*}\sum_{i,j} x_{i,j} = x_{1,1} + x_{1,2} + x_{1,3} + x_{2,1} +x_{2,2} +  x_{2,3} + x_{3,1} + x_{3,2} + x_{3,3}\end{eqnarray*}


ということです。ここで、x_{1,1} は、1さんが1さん自身に買ったプレゼントの値段です。


自分で自分に買ったプレゼントの費用は、合計費用には入れたくないという場合もあるでしょう。その場合は

    \begin{eqnarray*}\sum_{i\neq j} x_{i,j} \end{eqnarray*}


などと書きます。「ij が等しくない場合をひと通り足す」という意味です。つまり

    \begin{eqnarray*}\sum_{i\neq j} x_{i,j} = x_{1,2} + x_{1,3} + x_{2,1} + x_{2,3} + x_{3,1} + x_{3,2}   \end{eqnarray*}


です。


今度は、プレゼントの例はやめて、x_{i,j} が、「i さんと j さんが一緒に食事したときの費用」だとします。たとえば1さんと2さんが一緒に食事したときは3,000円、2さんと3さんのお出かけでは3,500円、3さんと1さんのディナーでは4,000円使ったとします。この場合、x_{1,2}x_{2,1} は同じ3,000円のディナーを指しています。食事費用の総額を考えるときには、ダブルカウントしないように、i < jとなるペアに関してだけ足し合わせます。これは

    \begin{eqnarray*}\sum_{i < j} x_{i,j} \end{eqnarray*}


と書くことができます。意味は

    \begin{eqnarray*}\sum_{i < j} x_{i,j} &=& x_{1,2} + x_{1,3} + x_{2,3}\\&=&3,000 + 3,500 + 4,000 \\&=& 10,500\end{eqnarray*}


です。このように、和のシグマ表記は、何を足すのかが明確であれば、適宜柔軟に用いてよいのです。


次回は添え字が2つの場合を発展させていきます。

>> 和の記号シグマ(6)二重のシグマ その1