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平均(期待値)


それでは、舞台設定ができあがったところで、まずXの平均(期待値)を求めましょう。以下の「ステップ1」の表をごらんください。

ステップ1


平均は、Xの各実現値(ここでは9, 5, 3 JMY)に、対応する確率 0.5, 0.3, 0.2をそれぞれ掛けて、最後に合算することで求めます。平均は英語で mean なので、その頭文字mをギリシア文字の\mu (ミュー) を使って表します。したがって

    \begin{eqnarray*}\mu_X = 0.5  (9) + 0.3 (5) + 0.2 (3) = 6.6 \hspace{2mm} (\mbox{JMY})\end{eqnarray*}


となります。\mu_XXは「Xの平均だよ」ということを明示するための添え字です。


「平均」ということの意味は「将来起こるXは、高いかもしれないし、低いかもしれない。ビールは売れるかもしれないし、あまり売れないかもしれない。真ん中は6.6 JMY (66万円) だ」ということです。未来のことに関する平均は、別名「期待値 (Expectation)」とも呼び、頭文字をとってE[X]とも表します。E[X]でも\mu_Xでも同じです。


ステップ2
同じように、アイスクリーム店の売上げ Yの平均\mu_Yを求めてみましょう。ぜひ練習を兼ねて、自分で計算してみてください。


どうでしょう、できましたか?

式は

    \begin{eqnarray*}\mu_Y = 0.5 (8) + 0.3 (6) + 0.2 (4) = 6.6 \hspace{2mm} (\mbox{JMY})\end{eqnarray*}


です。今回の例では、ビールの売上げとアイスクリームの売上げの平均は、たまたまどちらも同じ6.6 JMY (66万円) となっています。さあ、次は分散と標準偏差です。

>> 確率変数の「平・分・共・標・相」(3)分散