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最終利回りの一般的な定義


前回は最終利回りの定義を、具体的な数値例を使って説明しました。今回は一般的な表記で説明します。


債券の満期がn年後であるとし、1年目からn年目までの各年のキャッシュフローをc_1, c_2, \cdots, c_nとおきます。現在の債券価格がPだとすると、最終利回りは、以下の式を満たすxです。


    \begin{eqnarray*}P = \frac{c_1}{1+x} + \frac{c_2}{(1+x)^2} + \cdots + \frac{c_n}{(1+x)^n}\end{eqnarray*}



ここで前回の数値例を思い出してください。将来のキャッシュフローと現在の価格は分かっているという前提でした。分かっていないのはxだけ。x の n 次方程式ですが、実はコンピュータでは一瞬のうちに解が求まる類の式となっています。


右辺において、xは常に分母にあることに注意してください。xが大きくなればなるほど右辺は小さくなり、最後はゼロになります。なので、市場でついている債券の価格Pが何であっても、右辺がそれに等しくなるようなxは必ず1個しかありません。それがその債券の最終利回りです。最終利回りが大きいのは、Pが小さいときに対応します。「価格Pが小さい=利回りxが大きい」と理解してください。


次回は最終利回りの理論上の解釈・実務上の用途です。

>> 最終利回り(4)解釈・用途