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株を買うことの意味

企業は資金を調達するために、「株式(stock)」と呼ばれるものを発行します。株式は短く「」とも言います。もしあなたが株を買えば、あなたはその企業の「株主(stockholder)」となります。


株とは何でしょう。ファイナンスを勉強し始めたばかりの学生の中には、株などというものは紙切れに過ぎず、実態のない物だと思っている人がいます。また、株を買うのは、キャピタル・ゲイン(安く買って高く売ることで得られる利益)を得るために過ぎず、マネー・ゲームだと思っている人もいます。


もちろん、そんなことはありません。企業の株を買うことは、家や車を買うのと同じくらい実態のあることです。なぜなら、企業の株式を買うということは、その企業のオーナー(持ち主)になるということだからです。企業の発行した株式の1%を買えば、その企業の1%があなたの所有物になります。これは、船や競走馬を共同で保有するのと似ています。企業の発行した株式を100%買えば、その企業はあなた一人のものです。


企業は土地、建物、現金、ブランド、特許など、さまざまな「資産」を保有しています。企業のオーナーになると、それらがあなたの所有物になります。企業が借金をしている場合は、借金の返済に必要となる分を引いた残りの資産(これを「純資産」と言う)が、株主たちの所有物となります。借金をしている企業が倒産し、株が紙くずになった場合でも、株主が残りの借金の返済を迫られることはありません。これを「株主の有限責任(Limited liability)」と言います。


ここまで、株を買うと企業のオーナーになれるという話をしました。では、企業のオーナーになると、どんなメリットがあるのでしょうか。次回はその話です。

>> 配当割引モデル(2)企業のオーナーになることの意味