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2種類の変数

経済学に出てくる変数には、「掛け算的に変化する変数」と「足し算的に変化する変数」があります。厳密な区分ではないため、学校で習わない場合もありますが、ミクロ経済学や計量経済学では重要です。ぜひ、このシリーズでじっくり学んでください。


まず「掛け算的に変化する変数」から説明します。掛け算的に変化する変数とは、「元の値が大きいほど、変化幅も大きくなりやすい変数」で、価格がその代表例です。1万円の服が1000円値上がりするのはそれほど気になりません。一方1000円の服なら、値上がりしてもせいぜい100円か200円でしょう。元の値段が小さければ、変化幅も小さいのが普通です。


これに対し「足し算的に変化する変数」は、「変化幅が元の値の大きさに影響されない変数」です。例えば「時間」は、足し算的に変化する変数とみなされます。時間は10世紀にも、20世紀にも、同じように過ぎていきます。20世紀の方が速く過ぎるということはありません。


「税率」も、どちらかと言えば足し算的に変化する変数です。消費税は当初3%で始まり、それから5%、8%、10%と変化してきました。元の値にかかわらず毎回2、3%ポイントずつ増えています。


「変化の表し方」は、変数によって異なります。変化の大きさを表すとき、「3キロ増えた」のように単純に変化量で表す場合と、「10%増えた」とか「1割減った」のように比率で表す場合があります。例えば、年齢の変化は変化量で表現します。20歳だった人が22歳になったら、「2才歳を取った」と言うのが普通で、「10%歳を取った」という言い方はしません。これに対し、年収のアップは比率で表現するのが適切でしょう。


まとめると、元の値が大きいほど変化幅も大きくなりやすい「掛け算的な変数」は、「◯◯%」という変化率で変化の大きさを表します。次回はその練習をしましょう。

>> かけ算的に変化する変数(2)変化率