企業のオーナーになることの意味
前回は「株式を買うことは、その企業のオーナー(持ち主)になることだ」という話をしました。では、企業のオーナーになると、どんなメリットがあるのでしょうか。企業の持っている土地や建物が自分の物になるからといって、それを私用で使おうとか、売り払ってしまおうという人はいません。
企業のオーナーになることのメリットは、その企業が将来的に生み出す「利益」があなたのものになるということです。企業を100%保有していれば全ての利益が、1%だけ保有していれば1%の利益があなたのものです。株を買うとその企業のオーナーとなり、オーナーになるとその企業の利益が自分のものになる。これが前回の質問「株を買うことの意味は?」に対する最終的な答えです。
ただし、企業の経営者は毎年の利益をすぐに株主に還元するとは限りません。新しい機械の購入など、投資に充てることもあります。企業が株主に実際に支払うお金は「配当(dividend)」と呼ばれます。
したがって、「株主になるとその企業の『利益』が自分のものになる」と言いましたが、厳密には、「株主になるとその企業の『配当』が自分のものになる」というのが正確です。株式の価値とは、その企業が今後50年、100年の間にくれる「配当」を全部合わせた価値です。あなたが長生きして全ての配当を受け取れるかどうかは関係ありません。あなたが株式投資をやめようと決めて株式を売却する時、株の売り値が、まだ受け取っていない未来の配当を全部合わせた価値だからです。
それでは、現在配当をたくさん支払っている企業の株価が高く、配当を支払っていない企業の株価は低いのでしょうか。必ずしもそういうわけではありません。次回は配当の支払いのタイミングについてお話しします。
>> 配当割引モデル(3)配当のタイミング