空売り=「ウェイトが負」
証券のポートフォリオにおいて、各証券の「ウェイト」の合計は必ず1になります。一方、ウェイトは必ずしも正の値である必要はありません。
例えば、A,B,Cという3つの株式のポートフォリオにおいて、ウェイトがそれぞれ0.6,0.5, ということがあり得ます。株式Cのウェイトが負の値になっていますね。この場合、株式Cは「空売り」されていることを意味します。
当初の手持ち資金が100万円だとすると、「ウェイトが 0.6,0.5,」というのは、具体的にはこういうことです。まずあなたは株式Cを10万円分空売りします。つまり、ちょうど10万円分の株式Cを借りて来て市場で売り、10万円の追加資金を得ます。すると、最初の100万円と合わせて110万円のお金があることになりますから、それをつかって株式Aを60万円分、株式Bを50万円分買います。これが、「ウェイトが 0.6,0.5,」ということの意味です。
この例で、ポートフォリオのリターンも考えてみましょう。配当の支払いはなく、A株とB株はそれぞれ10%価格が上昇し、C株は20%下落したとしましょう。保有しているA株は総額66万円、B株は55万円になりました。一方、市場で買って持ち主に返すべきC株は、8万円に下落したことになります。A株からの収益が6万円、B株からの収益が5万円、C株の空売りの収益が2万円で、合計13万円です。手持ちの投資資金100万円が113万円になったので、リターンは13%です。
空売りがある場合でも、ポートフォリオのリターンの公式は使えます。
公式に当てはめると
というふうにちゃんと出てきます。
実際には空売りはリスクが大きいから行わないという投資家もたくさんいますが、ファイナンスの理論ではよく出てきますので、空売りの理屈は理解しておきましょう。
>> ポートフォリオ基本用語(5)期待リターン