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微分しても変化しない関数


e に関して知っておきたい3つめの事実は、e^x が微積分の分野で非常に特別な関数であるということです。


e=2.71828\cdotsx 乗した指数関数 e^x を考えてください。すると、その導関数もまた e^x となります。すなわち f(x)=e^x ならば f'(x)=e^x ということです。 導関数が元の関数と同じになる、すなわち

    \begin{eqnarray*}f'(x)=f(x)\end{eqnarray*}


が成立するのは、e^x のほかには、f(x)=0 つまり「常に0である」という関数だけです。これが e の3つめの性質です。


仮に f(x) = e^{a x+b} というふうに、x に係数と定数項が付いている場合は、「合成関数の微分」のルールが適用され、導関数は f'(x) = a  e^{a x+b} となります。したがって

    \begin{eqnarray*}\frac{f'(x)}{f(x)} = a\end{eqnarray*}


ということになります。


逆にこの「導関数を元の関数で割ったものが定数」という式を見たときに、「ああ、f(x)= e^{a x+b} のことか」というふうに関数の正体が言えるようになることが、経済学の上級者には求められます。


いかがでしたか。3回にわたって、無理数 e の不思議な性質の中から、経済学で用いる3つを紹介しました。e\pi とも密接に関係しており、奥が深い数です。まずは語呂でだいたいの値を覚え、そのうえで3つの性質を暗記してください。(終わり)