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特別な無理数


\sqrt{2}=1.4142\cdots のように「どこまで行っても規則性のない数」を無理数と言います。この無理数の中でも、特別な存在の2大巨塔が \pi(パイ,3.141592\cdots)と e(イー,2.71828\cdots)です。どちらも決まった文字で表しますが、あくまで数字です。


\pi は、中学校で教わる「円周率(= 直径を何倍すると円周になるか)」のことですが、実はとても不思議な数です。一例を挙げると、こんな公式があります。

(1)   \begin{eqnarray*} \frac{\pi}{4} &=& \frac11 - \frac13 + \frac15 - \frac17 + \frac19 - \frac{1}{11} + \cdots  \end{eqnarray*}


(2)   \begin{eqnarray*} \frac{\pi^2}{6} &=& \frac{1}{1^2} + \frac{1}{2^2} + \frac{1}{3^2} + \frac{1}{4^2} +  \frac{1}{5^2} +\cdots\end{eqnarray*}


式(1)の右辺は、奇数の逆数を差し引きしたものです。式(2)の右辺は、自然数の逆数を2乗して足したものです。一見して「円」とは関係ない不思議な式です。


この\piと肩を並べる特別な無理数が「e(イー)」です。e=2.7182818284590452\cdots というように永久に続く数で、「オイラー数」や「自然対数の底(てい)」とも呼ばれます。これから e とは何かという話をしますが、その前に、e が単なる無理数であることを肝に銘じるためにも、e\approx 2.7 というだいたいの大きさを覚えてください。(語呂を使って「ニーナ、遺髪は遺髪は死後くれよ」と覚えてもいいでしょう。)


e には他の数字が持たない性質がいくつもあるので、どれが定義と決めることができません。次回から、e の性質のうち、経済学でも利用する有名な3つを紹介します。その中で、自分にとって一番覚えやすいものを e の定義として覚えましょう。

>> オイラー数「e」(2)e の展開公式