リスニング教材は効果的か
筆者は25歳のときにアメリカの大学院に進学し、卒業後も海外の大学で教鞭を取りましたが、英語の「リスニング」には最後まで苦労しました。そこで今回は、英語のリスニングの勉強法についてお話ししたいと思います。
英語のリスニングの勉強法として、最初に思いつくのが「リスニング教材」です。私自身、「英検1級対策」や「ラジオで学ぶリスニング」といった数冊のリスニング教材を、一言一句聞き取れるようになるまで何度も練習しました。それでも、試験のリスニング問題は苦手なままでしたし、実際に会う外国人の英語も分かるようにはなりませんでした。ずっと後になって気づいたことですが、リスニング教材が効果的なのは中級までです。上級レベルを目指す人には適していません。その理由は3つあります。
1つめの理由は、リスニング教材の英語は、限られた人たちが喋る英語だということです。実際の英語は、話す人の年齢、職業、出身地によって千差万別です。少数の声優さんが交代で話す教材をいくら聞いても、応用性の高いリスニング力は身につきません。
2つめの理由は、リスニング教材は面白くないということです。英検2級に受かるためだったら、試験の前だけ頑張れば済むことです。しかし、上級者は普段から多くの英語を聞く必要があります。たとえ1日20分だったとしても、面白くないものを何年も継続するのは難しいことです。
3つめの理由は、リスニング教材は「聞き流し」に向いていないことです。ここで、「聞き流す」とは、BGMのようにかけておくという意味ではありません。(全然聞きもしないものを、1年間流し続けたところで、聞き取る力がつくわけありません。)「聞き流す」の意味は、「聞き取れなくても、巻き戻しせずに聞き続ける」ということです。リスニング教材は厳選されたものを繰り返し練習するという観点から作られているので、聞き流すという練習法には向いていません。
リスニング教材がだめだとすると、どんな勉強法が英語のリスニングに効果的なのでしょうか。次回から様々な方法を検証したいと思います。
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