比例尺度
経済学ではよく、「人口は1」「需要は1」などというフレーズが出てきます。この「1」を文字通りに受け取って、「人が1人しかいないの?」とか「需要が1個しかないの?」などと早とちりしてはいけません。1の意味は、1億かもしれないし、1 thousandかもしれないし、1ダースかもしれません。あるいは「東京ドーム1個分の収容人数」という意味かもしれません。
長さや重さ、お金の量でも同じです。「1単位のお金」は、1円、1ドル、あるいは1万ドルの意味でもいいし、自分の月収を1としてもいいのです。長さの単位も、1センチ、1インチ、1寸など、世界にはたくさんあります。あなた自身のカスタマイズされた単位を作ることもできます。経済学では、1の意味を自由に決めることを「基準化 (normalization)」と呼びます。たいがいは計算が簡単になるように1の大きさを決めます。
一方、これらの単位では、「何も無いこと」を0で表すと決まっています。センチと寸とでは1の大きさは違いますが、0の意味は同じです。このように、0は「何も無いこと」と決められているが、1の大きさは自由に決めて良い尺度を、「比例尺度」といいます。人数や金額、長さや重さなどです。
一方、0の意味も1の意味も、両方とも決めてよいのが「間隔尺度」です。次回は「間隔尺度」について説明します。
>> 基準化(2)間隔尺度の基準化