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複利計算の理論的なこと
前回までに、金利の複利計算式を勉強しました。今回はファイナンス理論に興味がある人が、複利計算について知っておくべき2つのことです。
1つ目は、「金利と貸借期間が同じなら、複利の頻度が多い契約ほど、返済額は大きくなる」ということです。 (なので、貸借契約をするときは、必ず複利の頻度がいくつかを確認してください。)試しに、年率5%の契約で1年間借りる場合に、複利の頻度によって返済額がどう違ってくるかを見てみましょう。
同じ100万円借りた場合でも、年1回複利の契約なら利子は5万円、年12回複利の契約なら利子は5万1162円ですから、同じ5%でも、複利頻度が大きいほど、利子が増えることがわかりますね。金利が20%なら、この差はもっと顕著になります。
理論として知っておくべきことの2つ目は、「複利頻度を年100回、1000回、10000回・・・と増やしても、返済額は際限なく大きくなったりはしない」ということです。このことを数学では「発散しない」とか「収束する」とか言います。
実際、年率5%で100万円を借りる場合、複利頻度が年1回から年12回に変わると返済額は1162円増えますが、12回から1000回に変わっても返済額はあと108円しか増えていません。複利の頻度を上げると返済額は上がるのですが、年何百万回に増やしても上がり続けることはなく、やがて「収束」します。際限なく大きくならない秘密は、複利計算の回数が倍になっても、そのぶん1回に適用される利率は半分になることが関係しています。
さて、金利の計算にもだんだん慣れてきたでしょうか。次回は借入額と返済額から、金利を「逆算する」練習をしたいと思います。