>>

安い債券・高い金利


まずは準備運動。借入額と返済額から金利を逆算する計算の復習です。

問1:今日\yen800借りて、1年後\yen1000返すとしたら、金利はいくらか。
問2:今日\yen750借りて、1年後\yen1000返すとしたら、金利はいくらか。

できましたか。問1の答えはこうです。金利をxと置くと、\yen800(1+x)=\yen1000ですね。これをxについて解くと、x=1/4 = 0.25 = 25\%なので、金利は25%です。

同様に問2では、金利をxと置くと、\yen750(1+x)=\yen1000ですから、これをxについて解くと、x=1/3 = 0.333 = 33\%より、金利は33%です。

前回出てきた、「ジェームズが債券を発行し、これを投資家が購入する」という話を思い出してください。あの話の中では、投資家が債券の代金800円を今日ジェームズに支払い、1年後にジェームズが1000円を投資家に返済します。したがって、ついさっきやった問1の計算によると、この場合の金利は年率25%ということになります。


さて、今、投資家がこの債券を800円で買うのを拒否したとしましょう。800円なんかでは買わない、750円に負けてくれたら買う、というのです。


もしジェームズがこれに応じて、この債券を750円で投資家に売ったらどうなるでしょうか。まず投資家がジェームズに債券の代金750円を支払い、1年後にジェームズは債券に明記されたとおり1000円を投資家に支払うことになります。この場合の金利は、さきほどの問2の計算によると33%です。

「1年後に1000円払うよ」と約束した債券が、800円で売れれば金利は25%、750円で売れれば金利は33%なのです。ここに、とても難しいけれど重要な事実が含まれています。

債券価格と金利の関係

「1年後に1000円払うよ」と約束した債券が999円で売れたら、これはこの人が極めて低い金利でお金を借りられたことを意味します。999円もらって1年後に1000円返せばいいのですから、金利は低いですね。逆に、同じ債券が650円でしか売れなかったならば、これはこの人が極めて高い金利でお金を借りたことを意味します。650円もらって1年後に1000円返さなければならないなんて、ばか高い金利です。


このように、債券の価格が高いことは、発行する人(お金の借り手)にとっても購入する人(お金の貸し手)にとっても、金利が低いことを意味し、逆に債券の価格が安いことは、金利が高いことを意味するのです。


さらに言い換えると、「債券価格の下落」は「金利の上昇」と同じことです。800円だった債券の価格を750円に値切られたジェームズの例では、ジェームズがお金を借りるための金利が25%から33%に上昇しました。「債券価格の下落」と「金利の上昇」は同じ現象を単に別の言い方で表したものに過ぎません。「債券価格の上昇」と「金利の下落」も同じです。よく、「金利が上がったから、債券価格が下がった」などと因果関係のように言うことがあり、これがファイナンス学科の1年生を混乱させますが、債券価格の変化と金利の変化は、因果関係ではなく、全く同じコインの両面だと理解しましょう。


と、このように説明すると、多くの人が納得した様子でうなずいてくれるのですが、少し時間が経つとすぐにまた分からなくなってしまうようです。そこで次回は、この考え方を練習問題を通じて身につけましょう。

>> 債券価格と金利の関係(3)練習問題