ポイント:
変数には2種類ある。外から値が与えられるのが「外生変数(パラメータ)」であり、方程式を解いて値が求まるのが「内生変数」である。
経済学には「モデル」と呼ばれる方程式や連立方程式がたくさん登場します。式がたくさん出てくるので、「変数」もたくさん出てきますが、今回は「変数には2種類ある」という話です。その2つとは、「外生変数 (Exogenous variable)」と「内生変数 (Endogenous variable)」です。外生変数の方は、「外生パラメータ」、あるいは単に「パラメータ」とも呼ばれます。外生変数と内生変数の区別のしかたを、例を用いて説明します。
中学で習う、2次方程式を覚えていますか。例えば、
がそうです。一般には
と表されます。ここには4つの変数が登場しています。, , , の4つです。このうちが外生変数、が内生変数です。内生変数は、「式を解いて値が出てくる変数」です。これに対し、外生変数は、式の答えを出すために、あらかじめ値が必要な変数です。上の例で言えば、, , というふうに、外から指定されます。方程式を解いて出てくるものではありません。
「2次方程式の解の公式」によれば、内生変数は外生変数によって
と表されました。が与えられれば、も求まります。外生変数は「式の外で値が決まる」、内生変数は「式の内で値が決まる」と理解しましょう。
もう1つ例を挙げます。これも中学で習う、一次の連立方程式です。たとえば
がそうですね。一般には
のように表されます。ずいぶんたくさんの変数が登場しています。, , , , , , , と、全部で8個もあります。「式の数と変数の数が同じでないと、答えは出ないよ」と先生から教わった人もいるでしょう。式は2つしかありませんから、この連立方程式は解けないのでしょうか。
もちろん解けます。文字はたくさん出てきましたが、式を解いて求めるべき「内生変数」はとの2つだけだからです。あとの変数は単なる外生パラメータで、, , … というふうに、外から値が与えられるのです。先に外生変数が与えられ、次に式から内生変数が求まる、というイメージを持つのがいいでしょう。
すなわち、外生パラメータの値が変わると、解、つまり内生変数の値も変わってきます。後でとても重要になる事実なので、頭の片隅にとどめておいてください。「外生変数の値が変わると、内生変数の値が変わる」です。