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基本4ゲーム
ゲーム理論の初心者が最初に勉強するべき、基本にして重要なゲームは次の4つです。
- タダ乗り問題(チキンゲーム)
- 囚人のジレンマ
- マッチング・ペニー
- コーディネーション・ゲーム
目標は、日常生活の様々な場面で、
「この状況って典型的な『コーディネーション・ゲーム』だね」とか、
「彼らは『囚人のジレンマ』に陥っているね」
と気付けるようになることです。そうなれば、状況を素早く把握することができますし、全く異なる場面で用いられている対策を参考にしやすくなります。ゲームを理解するためには、具体例をたくさん知って、イメージ作りをすることが有効です。その前準備として、今回はゲーム理論の基本用語を説明します。
まず、ゲーム理論では、ゲームの当事者たちのことを「プレーヤー (player)」と呼びます。先の合宿所のすき焼きパーティーの例では、テーブルに座っているアスリートたちのことですし、自転車で狭い道をすれ違う状況の例では、あなたと、向こうからくる中学生がゲームのプレーヤーです。
プレーヤーたちの持つ選択肢を「行動 (action)」、あるいは「戦略 (strategy)」と呼びます。すき焼きの例では「煮えるのをじっと待つ」のも戦略、「さっさと取って食べてしまう」のも戦略です。自転車のすれ違いの例では、「そのまま突き進む」のも戦略、「相手に道を譲る」のも戦略です。本当は「行動」と「戦略」の2つの用語は使い分けるのですが、それは後々説明することにします。
プレーヤーたちがみんな戦略を決めた時に起こることをゲームの「結果 (outcome)」と言います。すき焼きの例では「みんながじっと煮えるのを待つ」なら「みんながちゃんと煮えたお肉や野菜を食べられる」がゲームの結果です。自転車の例では「あなたは突き進む、相手も突き進む」だと「正面衝突する」というのがゲームの結果です。
最後に、ゲームの結果からプレーヤーたちの得る損得や嬉しさ・悲しさの度合いを、ゲームの「利得 (payoff)」と言います。すき焼きならば、ちゃんと煮えた肉や野菜を食べられるのが一番利得が高く、よく煮えてなくても食べられれば利得は中くらいで、食べ損ねるのが一番利得が低い、と言った具合です。自転車の例では正面衝突したら利得は最悪、相手が避けてくれたら最高、自分が避けるのは、衝突するよりはマシな利得、という具合です。
プレーヤー、戦略、結果、利得の意味が分かったら、いよいよ4つの基本ゲームの説明に移りましょう。トップバッターは「タダ乗り問題」です。
>> タダ乗り問題(チキンゲーム)